| 山口県知事賞 | シュレッダーに介護日誌の飲み込まれ細断される五年の記録 | 正木 洋子(岩国市) |
| 山口県議会議長賞 | 「栗の毬痛いですよ」と紙を貼り可燃ごみの日手前に並ぶ | 村本瑳智香(岩国市) |
| 日本歌人クラブ会長賞 | 朝露にぬれた葉を分け新芋の太りをさぐる土に手を入れ | 佐川紀美江(岩国市) |
| 山口県教育委員会教育長賞 | 吊皮は握るにあらず残業のつづれのごとき身を吊りにくる | 高野 和子(広島市) |
| 山口県歌人協会長賞 | フクシマを一度もうたに詠めずいたMRIの音きき思う | 相川美津江(岩国市) |
| 岩国市長賞 | 内向きのポストのふたが手の甲に触るれば離す白い封筒 | 俵田ミツル(山口市) |
| 岩国市議会議長賞 | 祭りかな。ええっなんだっけ。駅前で8月6日を問われた人ら | 本間 温(はる)子(鳥取県) |
| 岩国市教育委員会教育長賞 | 終りなき里程をゆけるただよひに元安川の灯籠の群れ | 三浦 恭子(広島市) |
| 岩国市文化協会長賞 | 腰の辺を洗えば股間をややひらく病む妻われの手順おぼえて | 藤田 久美(ひさみ)(尾道市) |
| (公財)岩国の文化を育てる会理事長賞 | 赤紙を手にしてよりの三日間語れば生徒ら静まり聞けり | 池田 友幸 (尾道市) |
| 読売新聞西部本社賞 | 海向いておしりの並ぶ船のデッキにアナ雪流れおしりも揺れる | 勝井 幸子(岩国市) |
| 朝日新聞社賞 | 妻の電話は起承転転また転転、転、転、転結、否、結もどき | 徳田 義幸(廿日市市) |
| 毎日新聞社賞 | 枯葉のごとはらりとバスから降りたちて男大きな嚔(くさめ)をしたり | 南本みどり (防府市) |
| 中国新聞防長本社賞 | 舌癌の手術終りし夫に添い東病棟九階に住む | 兼子 春枝(岩国市) |
| ◆選者別特選作品(平山 公一 選) | | |
| | 妻の電話は起承転転また転転、転、転、転結、否、結もどき | 徳田 義幸 |
| | 「栗の毬痛いですよ」と紙を貼り可燃ごみの日手前に並ぶ | 村本瑳智香 |
| | 排便の失敗責めて百歳の父の尻うつわれは何者 | 吉村 京子 |
| ◆選者別特選作品 | | |
| ◇池本 一郎 選 | | |
| | シュレッダーに介護日誌の飲み込まれ細断される五年の記録 | 正木 洋子 |
| | 終りなき里程をゆけるただよひに元安川の灯籠の群れ | 三浦 恭子 |
| | わが街で出生八十八、死亡二百五広報で知りぬ街が枯れゆく | 西山 聰子 |
| ◇宮里 勝子 選 | | |
| | 舌癌の手術終りし夫に添い東病棟九階に住む | 兼子 春枝 |
| | 吊皮は握るにあらず残業のつづれのごとき身を吊りにくる | 高野 和子 |
| ◇大森 智子 選 | | |
| | シュレッダーに介護日誌の飲み込まれ細断される五年の記録 | 正木 洋子 |
| | 祭りかな。ええっなんだっけ。駅前で8月6日を問われた人ら | 本間 温子 |
| ◇鳥山 順子 選 | | |
| | あやとりの黄色の毛糸の母の手よ引き揚げ船の中にしありぬ | 柴田 裕子 |
| | フクシマを一度もうたに詠めずいたMRIの音きき思う | 相川美津江 |
| | 枯葉のごとはらりとバスから降りたちて男大きな嚔(くさめ)をしたり | 南本みどり |
| ◇上村 典子 選 | | |
| | 吊皮は握るにあらず残業のつづれのごとき身を吊りにくる | 高野 和子 |
| | 挑むより待ちを構える蟷螂の老いには老いの発火点あり | 垰野 治代 |
| | 橋の上に署名をすれば女生徒はわれのパラソルさしかけくるる | 相原 由美 |
| ◇久保 敬 選 | | |
| | いつからかベッドの上のテーブルが夫と二人の食卓となる | 原田 妙子 |
| | 朝露にぬれた葉を分け新芋の太りをさぐる土に手を入れ | 佐川紀美江 |
| | 内向きのポストのふたが手の甲に触るれば離す白い封筒 | 俵田ミツル |
| ◇音羽 晃 選 | | |
| | 海向いておしりの並ぶ船のデッキにアナ雪流れおしりも揺れる | 勝井 幸子 |
| | 蜂の巢を叩(はた)けば群れて襲ひ来るかういふことが自衛権とは | 鮎川 清 |
| | 腰の辺を洗えば股間をややひらく病む妻われの手順おぼえて | 藤田 久美 |
| ◇二宮 信子 選 | | |
| | 死ぬるのは消える事じゃあないんだとそんな気もする孫と過ごせば | 吉本 蔦子 |
| | 赤紙を手にしてよりの三日間語れば生徒ら静まり聞けり | 池田 友幸 |
| | フクシマを一度もうたに詠めずいたMRIの音きき思う | 相川美津江 |
| ◇百留ななみ 選 | | |
| | 内向きのポストのふたが手の甲に触るれば離す白い封筒 | 俵田ミツル |
| | 朝露にぬれた葉を分け新芋の太りをさぐる土に手を入れ | 佐川紀美江 |
| | 「栗の毬痛いですよ」と紙を貼り可燃ごみの日手前に並ぶ | 村本瑳智香 |
| ◆特別賞 講師選 | | |
| ◇三枝 昻之 選 | | |
| | 在りし日の4B鉛筆そのまんま文机に待つ『おはん続編』 | 原田 俊一 |
| | 「採血でーす」ヤングナースが入り来てふんいき動く朝の病室 | 澁谷 壽悦 |
| | 三センチ上げねばならぬズボン丈時がわたしを食べてしまった | 三吉 静子 |
| | 孫たちは皆ばあちゃんちと言うなんてまあまあじいちゃんそう僻まない | 中井富佐子 |
| | 秋立てば君に手紙を書くつもり森が奥まで息すう朝に | 増田 理恵 |
山口県知事賞を受賞して
岩国市 正木 洋子
岩国市で開催されたやまぐち2014・短歌大会での入賞、しかも、山口県知事賞をいただきありがとうございました。
入賞の知らせが届いた時は思わず頬をつねってしまいました。痛かったです。
短歌の事は何も分らず蜀江短歌会(二宮信子会長)へ入会してから十年、月に一度の勉強会へ出席し、会の皆様のご指導を受け、五七五七七、指を折り、なかなか出来ない時は止めようかと思ったり、たまに岩国市短歌大会で賞に入れば又思い直して続け、今回の賞をいただき本当に嬉しかったです。
入賞した作品は母が亡くなり来年には十三回忌を行うのを期に整理処分しようとシュレッダーを購入しました。
少しずつ細断されていくのを見ながら出来た歌です。母と一緒にいただいた賞だと思い、この賞を励みに今後も歌を続けて頑張りたいと思います。