山口県知事賞 | 施設には来し方語る人もあり 語らぬ人の骨太の指 | 湯木 月江 |
山口県議会議長賞 | あの席に姿のなくて炭酸の抜けたるやうな秋の図書館 | 澤井 潤子 |
山口県教育委員会教育長賞 | 空蝉をTシャツの胸にとまらせて男の児は水のむ音立てて飲む | 相本 絢子 |
日本歌人クラブ会長賞 | 観音が千手開きて立つごとし夕日背にして燃ゆる大公孫樹 | 萩原 克則 |
下関市長賞 | 人参の色の空だと孫は言う人参嫌いが夕焼け指して | 利長 さだお |
下関市議会議長賞 | しなやかに動くおゆびは文字となり二人は静かに会話楽しむ | 中島 君枝 |
下関市教育委員会教育長賞 | お隣は娘が帰りて婿がきて赤ちゃん生まれて足し算の家 | 田中 千佳子 |
下関市文化協会会長賞 | 「生きてるか」いつもの朝の息子の声酷暑のこの夏「水飲んでるか」 | 黒崎 千里 |
山口県歌人協会会長賞 | 亡母の名の墨薄れたる日傘さしヤマホウシ咲く山門くぐる | 徳弘 尚子 |
讀賣新聞西部本社賞 | 消極の生き方少し変えてみむ雨を弾きて紫陽花揺れる | 松村 早苗 |
朝日新聞社賞 | 今宵またほたる火一つよぎりたり逆縁の子の年忌近づく | 兼子 春枝 |
毎日新聞社賞 | さうですか掛かりましたかあの猪(しし)がとうとう昨夜(ゆんべ)かかりましたか | 森田 アヤ子 |
山口新聞社賞 | 一本の補助線みつけ難問の幾何の解けたる夜の歓声 | 正木 紀子 |
中国新聞防長本社賞 | 秋雨に湿りたる土柔らかし大根蒔く畝ふかぶかと打つ | 西元 静香 |
特別賞 | お隣は娘が帰りて婿がきて赤ちゃん生まれて足し算の家 | 田中 千佳子 |
特別賞 | 三人の高校男子のあとにつき信号渡る少し胸張る | 武重 周子 |
特別賞 | 術後検査終えし夫一局指し帰る待ちぼうけの日良き日と記す | 越智 治子 |
特別賞 | 白き薔薇白きリネンに刺してゆく充足はただわがものとして | 村岡 茂子 |
特別賞 | あの席に姿のなくて炭酸の抜けたるやうな秋の図書館 | 澤井 潤子 |