山口県知事賞 | 石垣の石それぞれに顔がある心もあると棚田の農婦 | 斉藤 定 |
山口県議会議長賞 | 飴色の角の丸まる物差しを妻はときどき孫の手にする | 弘兼 安雄 |
山口県教育委員会教育長賞 | どもったあとの休み時間の日向ぼこ平気なふりが限界のまま | 松本 進 |
日本歌人クラブ会長賞 | 木陰より精霊蜻蛉わが横に親しき者のごとく寄りくる | 島本 弘子 |
山口市長賞 | 屈まりて畑に茗荷の子を探す夏のたのしみ老いて知りたり | 世良 弘美 |
山口市議会議長賞 | 妹の出来たる孫は物言わずわれの乳房にそっと手を置く | 宇多村順子 |
山口市教育委員会教育長賞 | 「湿布を貼って呉れる家族が居られますか」診察室に医師の声する | 村本瑳智香 |
山口文化協会会長賞 | 県庁の堀のめぐりのつつじ咲き映る花びら鯉が飲み込む | 山本まさみ |
山口県歌人協会会長賞 | 白壁の町に吊らるる幾千の金魚ちょうちん夏を見ており | 古賀 正浩 |
讀賣新聞西部本社賞 | 日輪のごと輝ける向日葵の七月母はお浄土にたつ | 向井 桂子 |
朝日新聞社賞 | 夏の畑休憩チャイムの聞こえきぬ社員のごとく吾も鍬置く | 黒瀬 悦子 |
毎日新聞社賞 | 継ぐ者の無き母の里座敷には遺影の五人庭を眺むる | 正木 洋子 |
山口新聞社賞 | 椋鳥の木の輪郭に飛び立てば木はたましいのぬけがらとなる | 村上 喜信 |
中国新聞社防長本社賞 | 亡き父の躰はベッドに軽すぎて白きシーツに皺も残せず | 増本 泰恵 |
山口県知事賞 | 東京に行きたいことを告げたときさみしげな目で父が見つめる | 山口県立小野田高等学校三年 吉村 真唯 |
山口県議会議長賞 | 新しいスパイクのひも大きめに結んで君は白線に立つ | 周防大島町立大島中学校三年 奥 さゆり |
山口県教育委員会教育長賞 | しゅわしゅわとあたまがもえそうたんさんすいへいきでのんでるおとなはふしぎ | 防府市立華城小学校一年 鈴木 里彩 |
日本歌人クラブ会長賞 | 歓声を深く吸いこみスタート台全てを出しきれTake your marks | 周南市立桜木小学校六年 淺田 羽恭 |
山口市長賞 | 朝一にキンキントマト手に取れば暑さ吹き飛び今日が始まる | 山口県立山口中央高等学校二年 伊藤 成美 |
山口市議会議長賞 | コンビニのコーヒーマシンに並ぶとき少し疲れた大人の真似する | 山口市立白石中学校二年 水田 早紀 |
山口市教育委員会教育長賞 | 容赦ない水鉄砲の的になり三つの従妹の弾ける笑顔 | 周南市立桜田中学校二年 山内貫大郎 |
山口文化協会会長賞 | 母さんは家族のトップさからえない猫は母さんのとなりにいるよ | 山口市立さくら小学校六年 栗田 常利 |
山口県歌人協会会長賞 | 履き慣れぬ下駄を引きずり彼の横気付いてもらえぬ心の痛み | 山口県立小野田高等学校三年 大田 陽葵 |
讀賣新聞西部本社賞 | 自転車のペダルを踏んで風を切る風が走れば落ち葉も走る | 山口県立小野田高等学校三年 國本 優理 |
朝日新聞社賞 | カブトムシ黒光りするその羽根をぼくも一度はつけてみたいな | 下関市立一の宮小学校五年 向尾 悠里 |
毎日新聞社賞 | lifeというスペルの中にifがある「もしも」があるか私の人生 | 光市立光井中学校三年 葛原 歩実 |
山口新聞社賞 | 平均台こわくて足がうごかないガンバと仲間の声が聞こえる | 山口県立山口中央高等学校二年 古谷 陽弥 |
中国新聞社防長本社賞 | 土壇場で試合を決める一撃を放ち輝く僕の右足 | 岩国市立玖珂中学校二年 村塚 怜 |