山口県歌人協会

-やまぐち2018短歌大会入賞作品-

一般の部入賞作品

山口県知事賞

萩原 克則(柳井)

三百の
てるてる坊主を
ぶら下げて
菜の花
祭りを子らは待ちおり

山口県議会議長賞

正木 紀子(岩国

父よりの
 軍事郵便
 よみかへす我に
 父なき
  七十三年    

日本歌人クラブ
会長賞

藤井 重行(宇部)

天水の
 注ぎ込まれて
 峡の
田は雲をあづかる
 生け簀となりぬ  

山口県教育委員会
教育長賞

山口 健(岩国)

駅のホームに
 パパーと
 叫び跳び付く
児パパではないが
  少しこそばゆし 

山口県歌人協会
会長賞

吉村 京子(光)

里山へ
 続く棚田を
 とざしつつ
濃くまた薄く
 霧流れゆく    

防府市長賞

松原八重子(柳井)

定年も
 賞罰もなく
 田に畑に
励みて
 米寿の未だ現役  

防府市議会
議長賞
兼森 文恵(光)

就寝時
 今日の一日に
 手を合わす
重なる指の
 ずれも直して  

防府市教育委員会
教育長賞

西村 恵子(岩国)

放蝶式
 終えた八代の
 児童たち
育てしギフチョウ
  つぎつぎ放つ 

防府市文化協会
会長賞

木村 桂子(岩国)

橋に佇
 つわれも瀬に
 立つ釣りびとも
霧につつまれ
  時空を越える 

防府天満宮宮司賞

福本 和夫(光)

燃料の
 切れて止まりし
 草刈り機
補充してまで
  残りは刈れぬ 

朝日新聞社賞

前田 澄江(宇部)

一枚田
 ソーラーパネルに
 覆はれて
実り忘れし
  土を掴みぬ

讀売新聞西部本社賞

濱田 道子(下松)

万葉の
 森に蓮華の
  開く音
ま夏まぶしき
  光の中に   

毎日新聞社賞

西原 孜(下松)

一升の
 餅を背負ひて
 よろめくも
小(ち)さきあんよは
  にっぽんに立つ

選者特選

福田 かつ子(下関)

病院ゆ
 見下ろす稲田の
 熟れ始む田ごと
田ごとに
  色を違へて  

中国新聞防長
本社賞

原田 美枝(下関)

ある時は
 講演の言葉
 とぎれつつ
師を語る
  人の心を思ふ 

児童生徒の部入賞作品

防府市議会
議長賞

山口県立防府高等学校一年 村田 成美

汗にぬれ
 せわしく働く
 その人が
「おつかれさま」と
  私に笑う     

防府市教育委員会
教育長賞

光市立光井中学校
三年 盛田 千尋

学ランで
 応援合戦
 するあいだ
あなたに
 ずっと包まれてるよう

防府市文化協会
会長賞

山口県立下松高等学校一年 白米 萌佳

照りつける
 日差しに
 負けて髪を切る
のぞく首元
 十六の夏      

防府天満宮宮司賞

光市立光井小学校
一年 河野 果歩

さかあがり
 ぐるんとまわって
 なつのそら
みあげてごらん
  うれしくなるよ  

朝日新聞社賞

光市立光井中学校
二年 野村 慶 

目を覚まし
 いつものように
 布団上げ
学校行くのが
 僕の日常      

讀売新聞西部本社賞

周南市立夜市小学校
五年 山内 萌生

大雨の
 ニュース
 ひなんの準備をし
今日はやさしい
   兄に寄りそう  

毎日新聞社賞
山口県立小野田高等学校
二年 濱崎 祐也

テストの点
  部屋で落ち込み
 転がって
良しと声出し
 机に向かう

山口新聞社賞

防府市立華城小学校
二年 石田 透夢

竹の川
 さらさらおよぐ
 そうめんが
つかまるもんか
  つるりとにげる

中国防長本社賞新聞

岩国市立玖珂中学校
二年 松本 歩紀

気がつくと
 君を見上げる
 背の丈に
少し前まで
  逆だったのに