山口県歌人協会

2025年短歌大会入賞作品

今年度のやまぐち短歌大会は、防府市地域協働支援センター 防府市栄町1‐5‐1ルルサス防府2Fにて11月23日(日) 13時30分より開催されます。
三選者の持ち点を合計36点とし、特選1位を8点、特選2位を7点、特選3位を6点、入選1位を5点、入選2位を4点、入選3位を3点、入選4位を2点、入選5位を1点とし合計点を出しました。
同点の場合は、落掌順により各賞が決まりましたので報告いたします。
また明らかな誤字、必要のないルビは省きました。
山口県知事賞

光市 松本 進

日直の
 最後の見回り
  誰もいない廊下で
ちょっと
  スキップをする 

山口県議会議長賞

防府市 藤本 征子

退院の
 夫の背骨の
  ゴツゴツに
しゃぼんの泡を 
 盛り上げ洗う   

日本歌人
クラブ会長賞

岩国市 木村 桂子

投げ出さず
 怯まず
  怯まず
乾きたる畑百坪の  
  雑草毟る  

山口県教育委員会
教育長賞

光市 利長 さだお

新札へ
 混じる諭吉のく
  万札よ
指紋だらけの
  諭吉になりて  

山口県歌人協会
会長賞

防府市 中村 正規

線香に
 火の点きにくい
   梅雨さなか
トイレの紙は
    重くしなやか

山口県歌人協会
会長賞

萩市 西元 静香

丈をつめ
 身幅を広げ
   三十年前の
刺繍の
  ブラウスを着る 

上村 典子
選者賞

岩国市 向井 桂子

わが通う
 フラ教室より
  僅かなる
 距離にタトゥーの
   看板のあり

百留ななみ
選者賞

防府市 宮崎 稔子

太陽光パネルの
 隙も
  なんのその
この世染めゆく
  秋のきりん草 

藤本喜久恵
選者賞

広島県 梅本 武義

大腸の
 患部はここか
  蛙啼く
入院前夜
  手を置き眠る 

入選
岩国市 倉谷 節子

決断の
 夫に従い
  春野越え
老人施設に
   姑置きてきぬ 

入選
岩国市 倉谷 節子

棉の花は
 さんでまわす
   からくり機
きゅっきゅっと
 音たて棉の実落とす

入選
岩国市 古賀 正浩

立つだけで
 歓声あげる
  人類を
ガラス越しに見る
 レッサーパンダ  

入選
山口市 久保田麗二

オリオンの
 星座のような
  手術痕鏡を
見れば
  下腹にあり   

入選
岩国市 二宮 信子

川の辺に
 あの世この世と
  仕切るごと
 今朝湧き出でて
   咲く曼珠沙華 

入選
柳井市 内藤 真理

柳井川に
 金魚提灯の
  赤と白 
街の主役の
  顔して揺れる  

入選
山口市 山本 寛嗣

足首が
 右手の指でも
  つかみきれ
細くなりたり
 病みてひと月  

入選
岩国市 岡山 節子

軽トラに
 若布あふるる
  バケツ乗せ
 盆地に春を
   甥の持ちくる

入選
岩国市 金光紀代子

さざ波の
 場に立てる
  太公望
 竿しなはせて
  海を引き寄す 

入選
鳥取県 上田 正枝

きのうより
 少し澄みたる 
  音のして
 夫が開けゆく
  サッシ六枚  

入選
周南市 兼平 敦子

児ら唄う
 四季しき小唄こうた
  踊りの輪
ふくらみながら
 元気にまわる