市長賞 | 本心はどこに隠そう かき混ぜるコーヒーカップの底が見えたり | 原田 妙子 |
市議会議長賞 | はなやぐと言ふにはあらずひとり住む厨に赤いスリッパを置く | 粟本 房子 |
教育長賞 | はつなりを待たせる雌花今朝一つ西瓜の姿持つてあらはる | 津田 和代 |
文化協会会長賞 | 封筒の筆圧強き母の文字「青。赤。しぼり」朝顔の種 | 末永 敦子 |
天満宮梅花賞 | 春嵐乱れて今朝の地蔵尊帽子は阿弥陀(あみだ)に前垂れは背に | 河野美津子 |
観光協会会長賞 | 手さぐりにやっとはずせしネックレス箱に納めて良き日暮れたり | 重田 二枝 |
商工会議所会頭賞 | 三つ四つ泰山木の白き花一陣の風に夏雲のわく | 河野 豊子 |
青年会議所理事長賞 | 墨染めの衣を羽織り音たててバイクで走る若き坊さま | 加藤 林子 |
大会特別賞 | | |
| 沖つ辺にたぎる潮騒聞ゆるや妹はしづかに眼を閉ぢにけり | 萩原 克則 |
| もしも朝、透明人間になりゐても点滴はしておかうと思ふ | 倉橋 杏佳 |
短歌会会長賞 | | |
| キッチンは小さき銀河もぎたての梅のうぶげの輝く朝(あした) | 佐々木晴美 |
| 卒寿すぎ坂径喘ぐ寺詣励ます老鶯声清かにて | 吉松トミ子 |
佳作賞 | | |
| 四歳がタンタンタンタン誕生日ババおめでとうと歌って踊る | 吉武 信子 |
| あと幾度父の日祝ふ日のあらむ百歳(ひゃく)まで生きるつもりと言へど | 重田登美子 |
| 五十円のはがきに二円切手貼り少し重たい友への便り | 松原 良子 |
| 過ぎし日は夢のごとくよ九十三年静かに迎ふる今日誕生日 | 津田 和代 |
| 背を丸め草取りてゐし母なるや新しきもんぺ二枚もありぬ | 木原 純子 |
| 頭からかぶりつけとう仲居さん鮎の串焼き熱きを持ちて | 重田 二枝 |
| 光る竹訪ね求めて満月の夜の虹架かる袂に参る | 脇屋 信子 |
| 張りのある声聞く電話三十分友の病は影潜めおり | 末永 敦子 |
| 酷寒の満洲シベリア堪えて来て卒寿も過ぎてもうそろそろだ | 山本 緑 |
| 鉛筆の匂い懐かし友と居て老もひらめくパズルに挑戦 | 河野 豊子 |
| 少しづつ親しきものとなる夕べ木の芽を摘めば山頭火顕つ | 河野 豊子 |
| 鳴きながらただまつしぐらに泳ぎゆく夫(つま)を見つけし浅瀬の雌鴨 | 河野 豊子 |
教育長賞 | もう一度あの瞬間に戻りたいきみはできぬか夏の日ざしよ | 金石 昌子(防府高校) |
文化協会会長賞 | 赤トンボ夕陽に染まり秋の空炎のごとく燃えあがる町 | 岡藤 義典(誠英高校) |
天満宮梅花賞 | 母の日に伝えたい気持ちあふれだす素直な気持ち伝えてみよう | 天本 巴菜(高川学園中学) |
短歌会会長賞 | | |
| 海のいろ瑠璃いろ群青君のいろ大きな麦わら雷雲のよに | 石松 里彩(防府商工高校) |
| 今もまだ忘れられないあの感動「生まれたよ」という母からのメール | 松本 美紀(防府西高校) |
| ユニフォーム球児の涙と汗すって高校野球最後の夏へ | 藤田 美咲(防府西高校) |
| しとしとと降り続く雨なぜだろうあなたといるとキラキラしてる | 秋本 百葉(防府高校) |
| フェンス越し夕焼け染まる君眺め近くて遠いもどかしい距離 | 岡山 舞花(誠英高校) |
| 砂浜によせては引いてく白波に青き風の音(ね)通り去りゆく | 原田 由美(誠英高校) |
| 縁側でうちわ片手に夕涼み鈴を鳴らして猫たわむれる | 島本絵理子(誠英高校) |
佳作賞 | | |
| グランドの端で咲いてるタンポポが風に吹かれて白くとんでく | 上村 泰平(防府商工高校) |
| 部活動日も暮れかけて帰り道真っ赤に染まった佐波川を見る | 花城 剣士(高川学園中学) |
| 色鉛筆みんなそれぞれちがう色人の心もカラフルで良い | 中村 渓希(高川学園中学) |
| 秋が来て日が落ちるのが早くなる静かな夜に鈴虫が鳴く | 伊藤 美月(防府西高校) |
| 放課後に仲良しグループあつまって日が暮れるまでガールズトーク | 宮崎 桃子(防府西高校) |
| 最近は小さな幸せ見逃して良いことないかと嘆いてる | 小嶋 梓紗(防府西高校) |
| 幸せになってと声をかけるけど隣にいたいこのままずっと | 池永 百花(防府高校) |
| 西日浴び一緒に歩いた夏の道大小並んだあの影法師 | 本保 春菜(誠英高校) |
| 夜遅く空を見るときれいだな部活後に見る空の世界 | 前原 健人(高川学園中学) |
| 日やけ止め今さらながらぬってみるくっきり残るくつしたのあと | 川﨑 智咲(防府高校) |