市長賞 | あの夏の荒れし川辺に葦生ひて蛍(ほうたる)追ふこゑ橋わたりゆく | 尾辻のぶほ |
市議会議長賞 | 何程の粘土を捏ねし掌か硬直する指組みて数珠掛く | 田村 孝美 |
教育長賞 | 汗吸いてズッシリ重き作業着を土産に帰る草刈り終えて | 重田 正一 |
文化協会会長賞 | じゃが芋に土寄せ終えて見上げれば真青の空に白く浮く月 | 江川 詳子 |
天満宮梅花賞 | 玉虫の翅に虹を刷きし手が母の記憶を塗りつぶしゆく | 南本みどり |
観光協会会長賞 | 菜園の真赤に熟れしミニトマト朝のサラダの真中におく | 西村トヨ子 |
商工会議所会頭賞 | 変りなく過ぎる暮らしの気だるさの欠伸を一つ夕空に吐く | 原田 妙子 |
青年会議所理事長賞 | 陽炎の揺らぐ国道分離帯百日紅(ひゃくじつこう)を責める排ガス | 中村 正規 |
短歌会会長賞 | | |
| 詰めこんだリュックに顔を覗かせてバットも走る少年の背よ | 河野美津子 |
| コンビニの花見弁当開きつつ励まし合うは満開の下 | 田嶋キシコ |
佳作賞 | | |
| それぞれの部屋に籠りし子や孫らひとりの窓を月がおとなふ | 佐々木晴美 |
| 草も木も洗い流して清々し梅雨の晴間を老鶯の鳴く | 吉松トミ子 |
| 古稀までを不器用ながら生きてきて旅の列車にうとうと寝る | 吉武 信子 |
| てくてくとさかみちおりてむかうさきデーサービスのくるままちてか | 重田登美子 |
| 彼岸会の指になぞりてゆく墓誌に優しき父の姿顕ち来る | 松原 良子 |
| 成人に届かぬ声は裏返りサッカーボール追ひつつ叫ぶ | 津田 和代 |
| ごはん炊くささくれ立って哀しくて尖った日でもごはん炊きおり | 木原 純子 |
| ひまわりのような明るい姪帰り後(のち)に笑ひの種をこぼして | 重田 二枝 |
| わが家との二時間の時差実感すスカイプに見る子の地の夕映え | 脇屋 信子 |
| おぼえ立ての絵本かかへてまつしぐら「ばあちやん」に聞かす真顔のいとし | 末永 敦子 |
| 転勤に新居に入り娶る孫育てし吾も式に招けり | 山本 緑 |
| 千両の小さき実にも雪積みて今にも折れそう指で払いぬ | 河野 豊子 |
教育長賞 | ひまわりと遠くに見える白い雲笑うあなたの白い歯見える | 防府高校 疋田 紗季 |
文化協会会長賞 | 大福が苺含みて季語になる苺のような君に会いたい | 誠英高校 光安 真梨 |
天満宮梅花賞 | 雨がやみ揺れる稲穂に涙あり今も忘れぬ祖父との時間 | 防府高校 曽我 達也 |
短歌会会長賞 | | |
| 万灯のレーザー花火コラボして夜空におどる友とくぎづけ | 防府西高校 稲垣 友汰 |
| 富海駅飛び乗ってきた兄弟の足につく砂香る潮風 | 防府高校 松尾 和美 |
| 永遠に時間を戻すすべは無し人は時間にしばられている | 高川学園中 村田 駿斗 |
| 届かない僕の思いは硝子越し知らない君は今日も微笑む | 防府高校 岡本 卓 |
| 蛍飛ぶ小川のそばの暗闇は地上に落ちた星空のよう | 防府高校 杉山翔太郎 |
| 春の風胸弾ませる桜花これからの日々未知の世界へ | 防府高校 吉屋菜々子 |
| 硬球を追いかけ始め六ヶ月ようやく慣れて今スタートだ | 防府高校 入江 吟平 |
佳作賞 | | |
| 苺色白く濁って甘く香る私の心も甘く濁った | 防府西高校 笠原 佑香 |
| いもうとがおとまりほいくさみしいなケンカあい手がいなくなったしね | 右田小学校 本園 眞子 |
| 君の笑み隣で見たく思うのに隣ですわる勇気めばえず | 防府高校 上野 貴弘 |
| 白砂をすべる流れのせせらぎにすいすいすいかどこからきたの? | 防府高校 天社 龍信 |
| 夏の日の夜空に輝く光線が黒のキャンパス描き染めてく | 防府高校 岡 龍太郎 |
| 海プール花火に祭たくさんの行事を終えてすぐそこに秋 | 誠英高校 白井 真衣 |
| 我が街を明るく照らす大輪が空を彩り笑顔の花咲く | 誠英高校 丸山 千瑛 |
| 蟬が鳴く照りつける陽はもう終わり木々らは赤く染まり始める | 誠英高校 藤津みふゆ |
| ラストラン寝台特急消えてゆく鉄の思いをホームに残して | 誠英高校 大友 淳平 |
| 竪琴の音を響かせ懸命にその勲章は手に刻まれる | 防府高校 田村 真琴 |